12/27/2012

研究室ウェブサイトのみかた

どの研究室に行きたいか考えるときに研究室に訪問したり研究室の人と話したりすることはほぼ必須だとは思います。ですが候補が多かったり研究室が海外だったりすると候補の研究室で全てそれをやるのは難しいかもしれません。そういった場合でも、訪問する場合でも研究室のウェブサイトから得られる情報は割りと沢山あるのではないかと思います。そこで今回は私が研究室のウェブサイトを見るときにチェックしている項目をまとめてみたいと思います。おそらく院生だと経験的にわかっていることだとは思いますが、研究室選びに悩んでいる学部生の参考になれば幸いです。

ちなみに私の研究分野は応用物理なのでそれ以外では当てはまらないかもしれません。



●更新状況・デザイン
ウェブサイトの更新頻度が低い、または最終更新日が1年以上前の研究室は個人的にはあまり良い印象がありません。研究室のウェブサイトは今や研究室の成果や業績を外に公表するための場所だと思います。そのウェブサイトがあまり更新されないというのは公表するような業績がないのか、PI(Principal Investigator)がウェブサイトを不要だと思っているか、研究室のマネジメントが上手くいっていない(ウェブ管理にまで手が回らない)可能性があります。ただ、数年間ウェブサイトを更新していないような研究室で結果を出しているような研究室も無くはないのですが非常に稀なケースだと思います。

ウェブサイトのデザインですが、デザインが良い場合は研究室にサイトデザインのセンスが良い人(学生・ポスドク)がいるか、お金をかけて良いデザインのサイトを作ってもらったかの2通りが考えられます。お金は研究室にとって重要な要素なので(というかお金がないと研究ができないので)サイトのデザインが良いというのは悪いことではないと思います。

●先生(PI)の経歴
先生の経歴からも得られる情報は数多くあります。研究室が設立されて何年目なのか、以前はどこで研究していたのか、先生がポスドク時代にどういった論文を出していたのか分かると思います。研究室が設立されて間もない場合は研究室のセットアップが確立されていないこともありますがそれでも優秀な先生であれば充実した研究生活が送れると思います。先生がどういった学問のバックグラウンドがあるかを知ることにより、先生の趣向・研究に対するアプローチがなんとなく想像できるのではないかと思います(学部生だと難しいと思いますが…)。

●メンバー
研究室のメンバーから得られる情報も意外と多くあります。特任助教・ポスドクは研究室からお金を出して雇っている場合が多い(JSPSの奨学金等を除く)ので、先生・学生以外の研究員が多いと「このラボはお金があるのかな」と思ってしまいます。学生の人数が多いことは賑やかでいいことですが人気と実力が比例するかは定かではないです。

アメリカの研究室ですと、中国人比率を気にしてしまします。中国人が多い研究室はハードワークが求められると個人的には思っています。また、アメリカの大学はPIが取ってきた研究費で博士課程の学生の学費を払っている場合が多いので、学生の数が多いとこの研究室はお金があると言えます。

個人的にはポスドクが多い研究室の方が居ない研究室よりもアドバイスを貰いやすいのではないかと思いますがそうでない場合もあるかもしれません。先生は授業や会議などで忙しいのでポスドクがいた方が研究の話がより長く濃くできるんじゃないかと思いますけどね。PIが全ての研究に口を出す研究室もあるので規模やスタイルに依ると思いますが。

●論文
論文リストを見るときに私がチェックしているのは著者・ジャーナル・IF(インパクトファクター)の3点です。

まず著者ですが、論文の著者で重要なのは誰が何番目に名前があるかです。例えば著者が5人いた場合、最初と最後の名前が特に重要になります。最初に名前がある人が主にその研究を行い、論文を執筆した人です。2番目に名前がある人はその論文に2番目に貢献した人だと思って良いと思います。ファーストオーサーの補佐をしたとか実験プロセスを幾つか行ったとかそういうことだと思います。3番目4番目の人はシミュレーションを行ったとか、測定を行ったとか、議論に加わった等で貢献した人です。5番目(ラストオーサー)は先生・アドバイザーの名前があると思います。なので、最も重要なのは誰がファーストオーサーで誰がラストオーサーかということです。例えばファーストオーサーが修士の学生の場合、修士課程でも論文を書ける(というか書かされる)と考えられます。例えば博士課程の学生が一人平均何本論文を出しているのか、(ポスドクではなく)博士課程の学生がどういった論文誌に論文を出しているのかをみることで自分がその研究室でどのくらいの成果が見込めるか予想することもできます(先輩と同じくらいの結果が出るかは保証できませんが)。ファーストオーサーやラストオーサーが共同研究先の研究室の場合は共同研究先でないとその分野の研究ができない可能性もあります。こういう論文があるからこの研究室に行ったら研究できるんだろうと思って入ったら実は共同研究者が主にやっていた研究だったということが起こらないように注意して下さい。

論文は基本的には有名なジャーナルで発表する方が難しいです。論文リストにネイチャーやサイエンスといった有名なジャーナルの名前がいくつもあれば素晴らしい成果を出している研究室と言ってまず間違い無いと思います。ジャーナルは無数にあり(数千~万単位)、業界によって専門的なジャーナルが全然違うので自分の興味のある業界の論文誌を知っておくと良いと思います。

一例として私がチェックしているジャーナルを一部挙げますと、Nature, Nature Materials, Science, Nature Photonics, Nature Nanotechnology, Advanced Materials, Nano Letters, ACS Nano, Physical Review Letters, Applied Physics Letters等があります(IF順)。これ以外にもチェックしているジャーナルはいくつかありますが、(応用)物理に関係の無い人は殆ど読んだことのないジャーナルもいくつかあると思います。ジャーナルにはIF(インパクトファクター)という指標があり、そのジャーナルに載った論文が平均何回引用されているかを表します。例えばNatureやScienceはIFが30を超えていますがこれはNatureやScienceに載った各論文が1年に平均30回引用されているということです。IFがどのくらいのジャーナルが良いのかというのは分野に寄ります。例えばPhysical Review Lettersは物理系の素晴らしい論文誌ですが、IFは10に届きません。それでも査読を通るのは非常に難しく、物理系のジャーナルとしては一目置かれている存在です。

ただ、研究室によってはトップジャーナルを狙わずにIFが多少低くても構わないというスタンスの研究室もありますし、論文より学会発表を重視するような研究室(というか学会)もあります。その場合は研究室の論文がどのくらい引用されているかをみるのも手だと思います。例えばApplied Physics Lettersという応用物理系の論文誌がありますが、APLのサイトによると、IFは3.8でそれほど高くはありません。しかし、中には何百何千と引用されている論文もあります。例えばこの論文は2000回以上引用されています。ジャーナルのIFが一桁だからといって、その論文の引用回数が一桁とは限りません。面倒ではありますが、その研究室の論文がどの程度引用されているのかを(Google Scholar等で)調べるとまた違った側面が見えてくると思います。

ちなみにIFを調べる方法ですが、web of scienceで調べるのが確実ですが、一番楽なのはwikipediaかジャーナルのウェブサイトをチェックすることだと思います。

●学会発表
どの会議で発表しているかでその研究室がどの学会に所属しているか、どの程度のレベルの会議に出ているかが分かります。学会は国内or海外、査読ありorなし、学会のレベルの3点が重要になってくると思います。国内学会は国内の研究者と知り合う良い機会だと思いますし、やはり海外の方が国内よりはレベルが高いと思いますし、国内・海外どちらにもメリットはあります。査読とはその研究が学会で発表するレベルにあるか審査する仕組みのことですが、勿論査読がある学会の方が発表するのは難しいです。採択率が7割の会議もあれば、レベルの高い会議になると5割、3割と厳しいところもあります。各分野には最高峰の国際会議というのがあると思います。その学会で発表することがトップジャーナルに論文を出すことのように重要なこともあります。どの学会がレベルが高いのかを学部生が知るのは難しいと思うのでその分野の研究者に聞いてみると良いと思います。また、学生がどの程度発表しているかも見ておくと良いと思います。学生が海外でバンバン発表しているようであれば「俺もここに入れば海外でバンバン発表できるのかな」とか想像できます。

研究室訪問も勿論大事ですが、ウェブサイトからでもこれだけのことがわかります。というか研究室訪問で見えてこないこともウェブサイトから分かります。できるだけ多くの情報をもとに、悔いのない研究室選びをしてもらえればと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿