3/17/2012

違和感から生まれる新しい視点(台湾旅行の感想)

私は博士課程に行きますが修士課程の卒業旅行をしようということで台湾(台北)に行ってきました.台湾に行く途中のANAの機内で「ガイアの夜明け」を観たんですが,その回は非常に面白かったです.内容は昨年放送されたものですが「行動観察」にまつわる話でした.

大阪ガスには行動観察研究所という機関があり,人の無意識の行動を観察することで新しいニーズを生み出そうとしています.例えばガスコンロに火を点火するとき火が点いているかどうかを確認するため,腰を曲げて実際に火が点いているかどうかを見る人はたくさんいると思います.行動観察研究所の所長はこの点に着目し,点火しているときはつまみ部分が赤く光るという機能を持たせることで,わざわざ火が点いているか直接見る必要をなくすことに成功しました.

もうひとつの例として,新書の売上を増やす方法が取り上げられていました.大阪の紀伊國屋書店で新書の売上が悪いのを改善して欲しいという相談を研究所が受けました.研究所のスタッフは実際に書店の客の行動を観察し,気になったところをメモして改善案を考えていきます.大きなポイントとしてはしゃがんで読む人はその場で読んでしまい購入しない点と,新書のタイトルが小さくて読みにくく手に取ろうとしない点でした.





この番組が興味深いと思ったのは私が「より多角的な視点,より深い洞察をするにはどうすればいいか」を常日頃から考えているからです.以前授業で「良い質問ですねぇ」と言われる質問の仕方という記事を書きましたが,良い質問というのも他人とは違う視点から物事を見ている質問や深い洞察を元にされる質問だと思っています.ただ,なぜ多角的な視点が生まれるのかというのを今まで上手く説明することができませんでした.今回ガイアの夜明けを見て,その答えが行動観察研究所の活動にはあるのだと思いました.ガスに火を点ける時に火を確認するというのは多くの人が日常的に行なっている「当たり前」のことでありそれには普通何の疑問も浮かびません.しかし,火を点ける行動を見た研究所の方が何か違和感を感じ取ったのだと思います.研究所の所長の方は男性なので料理に関して固定観念がなかったのかもしれません.それで,「あれ,なんでわざわざ腰を曲げてるんだろう.これって別にしなくても良いんじゃないの?」というように思ったのかもしれません.この「あれ,おかしいぞ」という違和感が新しい視点をもたらすきっかけになったのだと思います.

台湾は日本と似ている部分がたくさんあります.看板は漢字だし,街並みも料理も欧米と比べたらずっと日本に近いです.ただ,日本と少しだけ違うのでちょっとした違和感を感じる機会が多かったです.




例えば地下鉄(MRT)の案内板や地下鉄の駅にある地図はほとんど日本と同じなんじゃないかというくらい似ていたりします.




駅構内の案内図も日本の会社が作ったんじゃないかというくらい似ています.


ただ,日本では見ないようなものもあって,駅のトイレには個室の利用状況がランプで分かるようになっています(赤は使用中,青は使用していない状態).このようなところは直ぐに目に付くのでちょっとした違和感とは言い難いですが日本と異なっている面白い部分だと思います.ちょっとした違和感というのは,これは間隔的な話ですが,台湾ではトイレの数が日本より多いように感じました.同じ駅や空港の中でも短い間隔の中にトイレが複数あったりしますし,トイレの位置を示す案内もいたるところにあるように感じました.もしかしたらトイレの数や案内に関しては法律などで定められていのかもしれません.


駅のエスカレーターには全て巻き込み防止用のブラシが設置してありました.これもぼーっとしていると気づきにくい部分ではないかと思います.このブラシ,日本ではあまり見ませんよね.日本では時折エスカレーターに足が巻き込まれるという話を聞くので,設置してもいいのではないかと思ったりしました.

地下鉄に乗っている際にも違和感を覚えました.初めて乗ったときはラッシュアワーだったのですが,乗り降りが意外とスムーズにできて違和感がありました.日本でこのくらいの密度だったら乗り降りがちょっと大変になるだろうなと思いました.考えてみると,2つの理由が浮かびました.

台北捷運車両紹介C341型
http://www.2427junction.com/taiwantaipeic341.html
理由のひとつはこのページの5枚目と7枚目の写真からわかるように,ドアから入ったところの中央にポールがあるという点だと思います.これによりドア付近の人が中に入った時に中央のポールのそばに人が集まるので,車内中ほどにいる人が降車するのが楽になります.日本だと中央にポールはなく壁面に近づくように人が集まるので車内中ほどにいる人が降りにくくなってしまうと思います.

もうひとつの理由は,車幅が広いということだと思います.台湾の地下鉄に乗ると日本の電車よりも広いのではないかという違和感を覚えます.日本の車両ですと椅子のある部分に人が3列並ぶと圧迫されるのに台湾では3人いてもゆったり出来るのではないかと思ってしまいました.感覚としては30cmくらい日本より広いのではないかと思ったのですが,例えば私がよく乗るような電車ですと幅が2.95 mで台湾の地下鉄は3.2 mだそうです.というわけで私が感じた「日本より乗り降りがしやすい」という違和感はポールの位置と車幅の広さから来ているのではないかと思います.

普段の生活では当たり前だと思って鵜呑みにしていることも「これっておかしくないか」とか「なぜこうなっているのだろうか」と考えると面白い発見ができるかもしれません.自分のイメージと異なるものに敏感に反応するようなアンテナを持ち,自分で仮説を考えることで新しい視点を生む訓練が出来るのではないか,そんなことを考えながら楽しんだ台湾旅行でした.

※ もちろんこんな細かいこと考えるだけじゃなくて名所をたくさん回ったりしましたよ!

参考資料
ガイアの夜明け
大阪ガス行動観察研究所

追記
その他台湾の地下鉄で気づいたところですが
・車幅は広いけど車高が低いので中吊り(を吊るスペース)がない
・車高が低いので網棚もない
・優先席は大抵誰も座っていない
・地下でも携帯で通話が可能
などがありました.

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